内容

公家(貴族)と武家に焦点を合わせた共同研究の第二報告集。第一集は公家・武家の身分秩序の原理や職能体系の意味・役割を、地域による比較も交えて明らかにしたが、本書ではさらに、「家(イエ)」の成立と展開を統一テーマに設定し、「家」の形成に公家・武家という階層が果たした役割を追究する。日本のみならず広く中国・中東・西洋の事例も扱い、22篇の論文を収録。さらに家族・親族論の新たな試みともなっている。

目次

序論 「家」の概念とその比較史的考察 笠谷和比古

Ⅰ 「氏」から「家」へ
氏上から氏長者へ (村井康彦)
山階寺と興福寺 -藤原氏氏寺の成立- (瀧浪貞子)
古代社会の婚姻形態と親族集団構造について -日本古代の近親婚と中国の「同姓不婚」との比較において- (官文娜)
古代貴族の営墓と「家」 -『延喜式』巻二一諸陵寮陵墓条所載「陵墓歴名」の再検討- (橋本義則)
平安時代の公卿層の葬墓 -九・一〇世紀を中心として- (朧谷寿)

Ⅱ 日本社会における「家」の展開
「イエ」と「家」 (石井紫郎)
イエ社会の盛衰とイモセの絆 (平山朝治)
中世公家と家業 -難波家・飛鳥井家と蹴鞠- (西山恵子)
五摂家分立について-その経緯と史的要因- (名和修)
九条兼実における「家」 (加納重文)
延暦寺における「山徒」の存在形態 -その「房」のあり方をめぐって- (下坂守)
三条西家における家業の成立 (源城政好)
戦国期の公家と将軍 -松殿忠顕を事例として- (川嶋將生)
医師の家業の継承について -養子による継承- (杉立義一)
家中の成立 -甲府支族越智松平家の場合- (谷口昭)
幕末公家の政治空間 -縁家を中心に- (井上勝生)

Ⅲ 外国社会における「家」の諸相
中国古代の武士の「家」 (大庭脩)
北宋中期の家譜 (竺沙雅章)
宋代の宮廷政治 -「家」の構造を手掛かりとして- (平田茂樹)
オスマン帝国における君主の「家」と権力 (鈴木董)
「親族の賛同」は何を表現しているのか -一一・一二世紀のフランス領主社会における聖界への所領譲渡と親族の関与- (江川溫)

紹介媒体

  • 史学雑誌109-12号

    2000年12月

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