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内容

ビタミンの発見の背景には、それ以前の世界各地における長い脚気との闘いの歴史があり、また日本の漢方脚気医学の陰の貢献があった。エイクマン以後多くの人たちによって追試が行われるとともに、鈴木梅太郎のオリザニン、フンクのビタミンなど、さまざまなビタミン発見の伝説も語られる。本書は、ビタミンB1欠乏症の専門家が、脚気の歴史をもとに全く新しい視点からビタミン発見の真相解明に迫る20世紀医療文化史。

目次

まえがき
あらすじ

第1章 世界各地の脚気病
  第1節 ヨーロッパへの脚気の通報
  第2節 蘭領インド(インドネシア)の脚気
  第3節 インドの脚気
  第4節 ビルマ(ミャンマー)の脚気
  第5節 海峡植民地の脚気(シンガポール・ペナン・ウェルズレー・ジンジングス・マラッカ・ラブアンなど)
  第6節 マライ連邦の脚気
  第7節 シャム(タイ)の脚気
  第8節 フィリピンの脚気
  第9節 ボルネオ・ニューギニアの脚気
  第10節 オーストリア・ニュージーランド・ニューカレドニア・フィジーなどの脚気
  第11節 アフリカの脚気
  第12節 南アメリカ・西インド諸島の脚気
  第13節 その他地域の脚気(イギリス・アメリカ・カナダ・ハワイ・フランス・スペイン・メソポタミアなど)
  第14節 各種船舶での脚気

第2章 近代医学がまとめた脚気の病像
  第1節 脚気の臨床病状
  第2節 脚気の病理解剖所見
  第3節 乳児脚気
  第4節 コルサコフ症候群とウェルニッケ脳症

第3章 19世紀までの脚気原因説
  第1節 日本における脚気原因説
  第2節 イギリスにおける脚気原因説
  第3節 南アメリカにおける脚気原因説
  第4節 蘭領インドにおける脚気原因説

第4章 脚気の原因研究の進展
  第1節 東京大学医学部脚気病室における研究業績
  第2節 エイクマンによるニワトリの多発神経炎(ニワトリの脚気)の発見
  第3節 人の脚気と白米食との関係についての検討
  第4節 多発神経炎予防・治癒因子(有効物質)についての検討
  第5節 フィリピンにおける脚気の研究
  第6節 日本における初期のエイクマンの追試
  第7節 臨時脚気病調査会発足後のエイクマンの追試

第5章 ビタミンの発見
  第1節 実験栄養学による未知不可欠栄養素の認識
  第2節 ビタミンの発見

第6章 脚気ビタミン欠乏説の確立
  第1節 日本における脚気原因論のさらなる葛藤
  第2節 脚気ビタミン欠乏説の確立

第7章 ビタミンB1剤の登場と脚気の消滅
  第1節 脚気治療薬としての糠製剤(粗製ビタミンB剤)の流行
  第2節 ビタミンB1剤の登場
  第3節 脚気予防の重要性の認識と対策の進展
  第4節 易吸収性ビタミンB1誘導体(B1新誘導体)の登場
  第5節 栄養改善法の公布と国民栄養の向上
  第6節 脚気の消滅
  第7節 追記 脚気散発の教えるもの

第8章 ビタミンとは何か、誰がビタミンを発見したか
  第1節 ビタミンとは何か
  第2節 癌とビタミン
  第3節 誰がビタミンを発見したか

文献
あとがき

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