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内容

「近世都市」へと変貌を遂げていく中世京都の姿を、洛中洛外図や祇園会の記録を通し、また声聞師・庭者など室町文化を支えた都市周縁の非人たちの動向と合わせて論じ、上層町衆と新興町人との世代交代という、中世から近世への明らかな時代転換が見られる寛永文化に目を注ぐ。南北朝から江戸初頭にかけての「都市」京都の全体像を捉えた好著。

目次

はしがき
第1章 中世京都の展開
 第1節 「洛中洛外」と応仁の乱後の京都
  内乱後の町の再編成/「洛中」と「洛外」/町と町屋/城下町への道/洛外の名所化
 第2節 東寺領八条院町の構造と生活
  はじめに/八条院町の構造と支配/院町の住人/むすびにかえて
 第3節 天文期の町と祇園会
  「寄町」について/祇園会への出銭/山鉾の単独巡行
 第4節 近世京都の成立 
  はじめに/構と木戸/構の克服/むすびにかえて
 付論 法城寺と五条橋-洛中洛外図屏風の点景ー
  歴史の視覚的復元/洛中洛外図屏風のこと/五条河原の中島/清明塚と清明社

第2章 都市の周縁
 第1節 室町期における被差別民の動向
  はじめに/権力と差別/穢の清浄/被差別の労役と報酬/孤立から連合へ/むすび
 第2節 中世声聞師の一考察
  はじめに/五ヶ所・十座/経済的基盤/隷属形態の特質/移住の評価をめぐって/むすびにかえて
 第3節 中世の庭者とその周辺
  はじめに/農耕の営み/庭者の様相/徳性にみる庭者/むすび
 第4節 室町期の声聞師に関する二、三の問題点
  はじめに/小犬と北畠/声聞師村をめぐって/むすびにかえて
 第5節 川崎村の成立をめぐって-京都における被差別部落成立の一事例ー
  はじめに/旧川崎の位置/川崎の庭者/新川崎と犬追物/新川崎の具体相/おわりに
 第6節 天部村の組織と生業
  はじめに/中世の天部/天部の町と組織/天部の生業/おわりに
 付論 奈良豆比古神社の翁舞
  奈良阪の歴史的景観/翁舞についての伝承/翁舞の奉納

第3章 室町文化の動向
 第1節 足利義教とその文芸
  はじめに/先例と渡御/松拍子について/連歌会と和歌会/おわりに
 第2節 枯山水と山水河原物
  池庭から枯山水へ/作庭の新しい波/作庭家の群像/山水河原者
 第3節 領国の文化
  都鄙の交流/連歌師の活躍/文化受容の拡大/美濃の土岐氏/越前朝倉氏/大内氏と大宰府/領国文化の意味
 第4節 釣の陣の文芸
  文雅の世界/宗祇と義尚/松拍子の興行/犬追物と六角氏
 第5節 城郭の芸能
  安土の城/武家と幸若/太閤能/御成と芸能
 第6節 「わび」の周辺
  わびと数寄/名物の評価/堺衆と茶の湯/利休と宗二
 第7節 お伽の世界
  お伽衆の成立/お伽衆の制度化/お伽衆と記録文学/お伽草子の普及
 付論 上賀茂神社社家『岩佐家文書』にみる観世史料について
  はじめに/検地帳に記載される人々/往来田について/観世又二郎について/その後の観世又二郎領

第4章 寛永文化の諸相
 第1節 寛永文化サロンをめぐって-平賀清兵衛と鳳林承章ー
  はじめに/平賀清兵衛の出自/平賀清兵衛の活動/鳳林文化サロンの中の清兵衛/おわりに
 第2節 寛永文化とその担い手たち
  はじめに/鳳林承章と幕閣要人/藤谷為賢のこと/後水尾院と寺院/むすびにかえて
 第3節 金森宗和覚書
  はじめに/金森宗和の居所/宗和の活動/宗和の交遊
 第4節 金森宗和と仁清
  金森宗和の出自/宗和の茶の湯/仁清の御室焼/宗和と仁清/寛永文化の中の仁清色絵陶
 付論 朱印船貿易再開をめぐる一史料
  はじめに/文書の年代確定/文書がもつ意義
 
 初出一覧/あとがき/索引(人名・事項)





       

紹介媒体

  • 日本史研究393号

    1995年5月

    馬田綾子

    「新刊紹介」欄

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