内容

日本における染色学界の大先達であり、最長老である著者の永年にわたる研究の集大成。科学という専門を基に、古い文献の渉猟、日本はもちろん中国・インド・中近東・ペルシャ・インドネシア等の広汎な研究は世界的にも評価されているものである。現代染職家にとって必須の書。

目次

上代文学に現れたる色名・色彩並に染色の研究

 序説 万葉時代の色彩と染色

 本論
  あか(赤)
  あかね(茜)
  あたね(阿多泥)
  あを(青)
  あをによし(青丹吉)
  いろ(色)
  かすみいろのにしき(霞錦)
  かち(褐)
  きぶみ(黄文)
  きんぎんゑ(金銀絵)
  くれなゐ(紅)
  けしくれなゐ(滅紅)
  ざつたん(雑丹)
  しうしょく(紫烏色)
  しろ(白)
  しわう(雌黄)
  すはう(蘇芳)
  すりごろも(摺衣)
  だうさ
  たうじき(当色)
  たく(栲)
  つるばみ(橡)
  どうわう(同黄)
  はじ(波自)
  はとぞめ(鳩染)
  みつだそう(蜜陀僧)
  むらさき(紫)
  もくらん(木蘭)
  もみぢ(黄葉)
  ももぞめ(桃花褐)
  ゆうわう(雄黄)
  よみ(黄泉)
  わうし(黄紙)
  わうたん(黄丹)

   備考 以上の他、特に項を別けずに、
      以上のものと一緒にしたもの、
      及び以上のものの中に論及してあるものは
      次の通りである。

    あかみとり(朱鳥) けしくれなゐの項
    あけ(赤、朱又は緋) あか、及びあかねの項
    あさくれなゐ(浅紅) けしくれなゐの項
    あめ(黄) もみぢの項
    あらぞめ(桃染) ももぞめの項
    あゐ(藍) あを、及びあたねの項
    あをきあぶらぎぬのかさ(青油笠) みつださうの項
    あをききぬがさ(青蓋) あをの項、及び序説、五、青蓋の項
    あをずり(青摺) すりごろもの項、及び序説、四、青摺の項
    あをにぎて(青丹寸手) しろ、及びたくの項
    うさう(烏装)うしつ(烏漆)うせん(烏染)うばたま(烏玉)うひ(烏皮)うゆう(烏油) しうしよくの項
    うるはしきいろ(彩色) きんぎん絵の項
    えびぞめ(蒲萄) むらさきの項
    えんくわ(鉛華) いろの項
    えんじ(臙脂又は烟子) いろ、及び紫の項
    おしろい(鉛粉) いろの項
    おほむぞ(黼) すりごろもの項、及び序説、四、黼の項
    かきつばた(垣津幡) すりごろもの項、及び序説、四、花摺の項
    かつ(褐) かちの項
    かものはいろ(鴨乃羽色) あをの項
    かりやす(刈安) わうしの項
    き(黄) もみじ、わうし、及びあかの項
    きくぢん(麹塵) はとぞめの項
    きぞめのきぬ(黄色衣) つるばみの項
    きつるばみ(黄橡) つるばみ、及もくらんの項
    きん(金)ぎん(銀)きんでい(金泥)ぎんでい(銀泥)きんのすみ(金墨)ぎんのすみ(銀墨) きんぎんゑの項
    きりんけつ(麒麟血) むらさきの項
    くず(葛) たくの項
    くちなし(支子又は梔子) わうしの項
    くり(皀) つるばみの項
    くろ(黒) つるばみの項
    くろばい(黒灰) すりごろも、及びみつださうの項
    こがねいろ(金色) きんぎん絵の項
    ごしき(五色) たうじきの項
    こなぎ(子水葱) すりごろもの項、及び序説、四、花摺の項
    こん(紺) あをの項
    しかう(紫〓) むらさきの項
    ししいろ(宍色) けしくれなゐの項
    したん(紫丹) むらさきの項
    しば(柴) 序説六柴の項
    しゆ(朱) あか、及びあかねの項
    じゆひしよく(樹皮色) もくらんの項
    しらが(自香) しろの項
    しらにぎて(自丹寸手) しろ、及びたくの項
    しろきもの(鉛紛) いろの項
    しろつち(自〓) しろの項
    しろつるばみ(自橡) つるばみの項
    しろはた(素幡) しろの項
    すみ(墨) つるばみの項
    すゑつむはな(末採花) くれなゐの項
    せきぼく(赤木) すはう、及びもくらんの項
    そひ(?) あかねの項
    そほ(曾保) あかの項
    そほに(赭) あかの項
    そめがみ(染紙) わうしの項
    たん(丹) わうたんの項
    つき(桃花鳥) けしくれなゐの項
    つきくさ(鴨頭草) すりごろもの項
    つみ(柘) 序説、三、柘の項
    でいゑ(泥絵) きんぎん絵の項
    てづくり(手作) しろ及びたくの項
    に(丹) あかの項及びわうたんの項
    にじ(虹) たうじきの項
    にしきいろ(錦色) たうじきの項
    ぬばたま(烏玉) しうしよくの項
    はなずり(花摺) すりごろもの項、及び序説、四、花摺の項
    はなだ(縹) あをの項
    はに(赤土) あかの項
    はにふ(黄土、赤土) あかの項
    はねず(朱華) くれなゐの項、及び序説、七、朱華の項
    はり(榛) すりごろもの項及び序説、六、榛の項
    ひ(緋) あかねの項
    ふし(柴) 序説、六、柴の項
    ふぢ(藤) たくの項
    ふみまき(黄巻) わうしの項
    ぺに(紅) いろの項
    みどり(緑又は翠) あをの項
    むしぶすま(烝被) たくの項
    めつし(滅紫) むらさきの項
    ままあゐ (山藍) すりごろもの項、及び序説、四、青摺の項
    ゆふ(木綿) たく、及びしろの項
    るり(流離) 序説、七、流離の項
    ろくしよう(緑青) あをによしの項
    わうれん(黄蓮) わうしの項
    ゐしき(位色) たうじきの項
    ゑじき(壊色) もくらんの項
    を(苧) たく及びしろの項


日本上代染草考

 序(著者)

 第一篇 上代染草に関する研究
  一 序説
  二 あづさ考
  三 続あづさ考
  四 からゐ考
  五 黄櫨考
   附 黄櫨染の研究
  六 くれなゐ考
   附 紅染の研究
  七 つるばみ考
   附 橡染の研究
  八 麒麟竭考
  九 やまもも考
  一〇 木蘭考
  一一 榛の木考
   附 榛摺の研究
  一二 柘の木考
  一三 くはの木考
  一四 シュイキナ(アイヌの藍草)考
 
第二篇 上代染草の説
  一 茜草
  二 紫草
  三 藍と山藍
   附 大青と木藍
  四 近江刈安と八丈刈安
  五 胡桃
  六 蘇芳
  七 梔子
  八 黄蘗と黄蓮
  九 鬱金と丁子
  一〇 木芙蓉と扶桑
  一一 補遺 上代文学に現れたる二三の染草について

 第三篇 上代織繊維に関する研究
  一 布暴考
   附 祓との関係
  二 続布暴考
   附 祓の水
  三 万葉集に現れたる織物序説
  四 万葉集に現れたる織物
   附 織維植物について

 追加論考
  「根」の国と「にいる」の国
  衣服令服色等差の色数について
  木綿織物渡来考

編集後記

索引

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