内容

仁徳天皇陵か、大山古墳か――
日本最大の前方後円墳を、考古学者・森浩一は「大山古墳」と呼ぶべしといい、古墳を管理する宮内庁は「百舌鳥耳原中陵」と呼び、百舌鳥・古市古墳群の世界文化遺産登録を目指す関係者などは「仁徳天皇陵古墳」と呼ぶ。
それぞれがこのように主張する背景にはいったい何があるのだろうか? そして私たちは天皇陵をどう呼ぶべきなのか?
世界文化遺産登録に向けた動きのなかで浮かびあがる天皇陵をめぐる諸問題――考古学の成果との齟齬、天皇陵指定の経緯、陵墓公開運動、社会への広がり(ウェブ・教科書・報道)などを多角的に取りあげ、これからの天皇陵のあり方を考える。

■担当編集者より■
地域の文化財は地域の住民のものだ、という考えが本書には通底しています。
天皇陵も国や地元自治体の財産ではなく、その地域に住む人々の生活とともにあるべきものだ、と。
そして文化財のあり方に多くの市民が関心を持ち、議論に参加してほしい。そんな思いの詰まった本です。まずは天皇陵をめぐる歴史と現状を知り、一緒に天皇陵の将来を考えましょう。世界文化遺産登録の運動もその先にあるはずです。

目次



 第Ⅰ部 呼称問題
第1章 天皇陵古墳をどのように呼ぶか 今尾文昭(関西大学非常勤講師)
―森浩一の軌跡と先駆的役割―

第2章 百舌鳥三陵は如何に呼ばれてきたか 久世仁士(文化財保存全国協議会常任委員)


 第Ⅱ部 歴史のなかの天皇陵古墳
第3章 古市・百舌鳥古墳群の王陵の被葬者 岸本直文(大阪市立大学教授)

第4章 王統譜の成立と陵墓 仁藤敦史(国立歴史民俗博物館教授)

第5章 だれが陵墓を決めたのか? 上田長生(金沢大学准教授)
―幕末・明治期の陵墓考証の実態―

第6章 大正・昭和戦前期の学問と陵墓問題 高木博志(京都大学人文科学研究所教授)


 第Ⅲ部 現代と天皇陵古墳問題

第7章 陵墓と文化財「公開」の現在 後藤 真(国立歴史民俗博物館准教授)
―デジタル時代の文化財情報の公開の姿とは―

第8章 教科書の天皇陵古墳 新納 泉(岡山大学教授)

第9章 陵墓公開運動と今後のあり方 茂木雅博(茨城大学名誉教授、土浦市立博物館館長)

第10章 世界遺産は陵墓を「開かせる」か 今井邦彦(朝日新聞編集委員)
―報道の立場から―

まとめ


古市古墳群の主要古墳
百舌鳥古墳群の主要古墳
英文要旨
索引(人名・事項)
執筆者紹介

紹介媒体

  • 「京都民報」

    2017年2月26日

    山田邦和

    書評

  • 「奈良新聞」

    2017年2月12日

    紹介

  • 「読売新聞」夕刊

    2017年3月9日

    紹介

  • 「しんぶん赤旗」

    2017年3月19日

    紹介

  • 「朝日新聞」夕刊

    2017年4月26日

    今井邦彦

    記事(4面)

  • 「京都新聞」夕刊

    2017年5月23日

    紹介(8面)

  • 『考古学研究』64巻1号

    2017年6月

    新刊紹介

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