これも歴史の生き証人

平成24年正月、帰省先の四国の実家から京都に戻る際に立ち寄ったのは
徳島県と香川県の県境、猪ノ鼻峠にある深い深い山の中の無人駅「坪尻駅」。
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「探偵ナイトスクープ」「タモリ倶楽部」など
名だたる教養番組でも取り上げられたことのあるこの駅は、
一日の乗降者が平均1~2名しかおらず
JR四国管内きっての「秘境駅」としてその筋の方にも超有名。
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何せこの駅に鉄道以外で辿り着くには「徒歩」しか交通手段がなく、
最寄りの幹線道路国道32号線からは写真のような獣道を分け入っていかねばならず、
大人の足でも最低片道15分~20分はかかる標高差。
かろうじて国道沿いの入口にはバス停があるものの、
そこの時刻表は一日往復3便しかないいわゆる「地獄表」(ⓒみうらじゅん氏)で、
周囲に全く人家がないため、その本数の少なさがむしろ笑えるくらいに心細さを助長してくれた。
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意を決してその道に踏み込むとあたり一面落ち葉が敷き詰められており、
ひとたび足を取られれば文字通り「奈落の底」。
途中時折聞こえる野犬らしき遠吠えが、ますます冷やかしの訪問者のやる気を殺いだ。
気持ち悪いやら、怖いやらの15分の道程の最後の関門は、
いったい何年このままであったのか?、そしていつまでこのままいるつもりなの?という
昔懐かしの「廃屋」が優しく出迎えてくれた。
噂では雑貨屋であったらしいとのこと。ここにも人の営みがあったのだ。
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トンネルを抜けるとそこは香川県、そして瀬戸大橋から岡山に至る。
私が子供の頃(13歳)までは四国から本州に渡るメインルートは
高松と宇野を結ぶ宇高連絡船だった。
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今でこそ京都から四国のお客様のところにも日帰りで車で行けるが、
当時本土(?)からこの駅に来るには相当の時間を要したはずである。
この駅は四国の交通網の変遷を徳島の山中から見続けた生き証人であり、
岡山からの特急が高知に向かう後姿を見ながらこの駅舎は何を思うのか?
マムシ注意」以外に…。
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ちなみにこの駅近辺の観光名所として世界三大土柱の「阿波の土柱」、
ちょっぴり大人な「林下寺・お花大権現」、「大歩危・小歩危」の渓谷、
酷道マニア垂涎の439号線など意外と知られていない吉野川沿いのスポットも充実。
(入江)