僧堂の起床、起請の騒動

現在開催中の思文閣大交換会に、平林僧堂師家をつとめた白水敬山老師の幅が出品されています。
この平林寺、京都ではあまり知られていないようですが
埼玉の南、新座(にいざ)市野火止(のびどめ)に13万坪という広さを誇る
大変おおきな臨済宗のお寺です。
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僧堂が設置されており修行の場として名高いですが、
境内の林は国の天然記念物に指定されており、春夏秋冬いつ訪れても美しい景色を見ることができます。
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意外と古美術にも縁があるようで、
富岡鉄斎も明治22年の関東巡遊の際に立ち寄り戴渓堂の独立性易像を写したという記録があるほか、
速水御舟も一時期ここで参禅しながら画の制作に没頭したといいます。
かつてその近くに住んでいた私が「平林寺」で思い出すのは朝夕に鳴り響く鐘の音と、カラスの声。
(本当かどうか知りませんが)東京のゴミ捨て場で活躍しているカラスのほとんどが
平林寺の林をねぐらにしているという噂がありました。
朝になると東京方面に「出勤」し、「仕事」を終えて夜になると埼玉に寝に帰ってくる。
まるで人間のサラリーマンのような生活パターン。
私も子供の頃この話を聞かされて「東京のみなさん、新座のからすが悪さをしてごめんなさい」と
心中であやまったものです。


カラスと言えば。
高杉晋作が作ったと言われている、ちょっとかわいそうな都都逸があります。
「三千世界の鴉を殺し、主と朝寝がしてみたい」
勤め先のブログで語るにはややリスクが高い、
いわゆる「廓噺」になりますが落語の演目『三枚起請』はこの都々逸が由来とのこと。
吉原の花魁と、花魁が書いた「年季が明けたらきっと一緒になりましょうね」
という誓いの文書(起請文)に振り回された男三人の騒動がなんとも可笑しいこの噺。
男達に問い詰められ開き直った花魁が言い放つサゲがたまりません。
「勤めの身だもの、朝寝がしたいよ!」
いつもより早めに起きる日々が続いたこの冬、何度心中でこの台詞をつぶやいたことか…。
この辺でお寺の話に戻りますが、御舟の平林僧堂での生活は朝4時起床だったとのこと。
それに比べたら私の早起き(午前6時起床)なんて、「朝寝」の範疇と言えるでしょう。
というわけで、明日からもがんばって6時に起きます。
(山田)