深草逍遥

京都市南郊・伏見深草を歩けば、洛外とはいい条、ふとしたところにも史跡が転がっています。
ただし、世界遺産に名を連ねるような華やかな名所旧跡とは趣を違え、ごくごくしめやかなもの。
このほど訪ねたのは、十二帝陵の名で親しまれる深草北陵と、瑞光寺(元政庵)の二カ所です。
この二カ所はごくごくご近所、歩いて五分程度の圏内にあります。

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深草北陵は、後深草伏見後伏見後光厳後円融後小松称光後土御門後柏原後奈良正親町後陽成の十二代の天皇を祀る御陵。
十二帝を合祀するといっても、その規模はこぢんまりとしたものであって、
そのさりげなさ(素っ気なさ?)がまた魅力です。
管轄は当然宮内庁で、その注意書の立札もよい調子です。
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深草北陵
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立札


そういえば、現在開催中の弊社「大交換会」にも、ここに祀られる帝の書跡のご出品を賜っているのでした(後光厳・後土御門・後柏原・後奈良・正親町の五帝)。
訪ねたのがちょうど、カタログの編集作業をしながらの時期でしたので、
なにやら勝手にご縁を感じたりもいたしました。このあたりは役得というところで。
入札締切の今月20日17時まで、皆様のご参加をお待ちしております。
入札会の詳細につきましては、思文閣本社(075-531-0001)までお気軽にお問合せ下さい。
一方、元政上人は江戸初期の日蓮宗の名僧で、深草元政として知られるお方。
庵の旧跡そのものについては、残念ながら現在は一般公開されていませんが、
来る3月18日の元政忌には、遺墨遺品とともにご開帳があるとのこと。
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門前
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本堂(寂音堂)
上人開基になる瑞光寺と庵の旧跡とは、「都名所図会」(拾遺共。1787年刊)にもとられており、
当時より名所として知られていたことがみてとれます。
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瑞光寺・元政法師旧跡(都名所図会)
ちなみに、図版は弊社古書部所蔵の品物。古書資料目録221号にて現在ご紹介中の作品でもあります。
お問合せはこちら、思文閣出版古書部(075-752-0005)まで。あいにく売切の節にはご容赦を。
現在の地図を重ねてみるならば、本堂と庵とのあいだを、JRの奈良線が貫いているということになるわけですね。実地に歩いたところを、むかしの観光ガイドで確認してみるというのも、乙なものではないでしょうか。
市中を少しく離れて、文字どおり草深き深草の里であっても、ちょっと探れば訪うべきところ多々というのは、さすが千年の都というべきでしょうか。今後もいろいろめぐってみたいとおもいます。
(佐藤)