カバーなど書籍の外装に多少の汚れ・傷みがございますのでご了承ください。

内容

明治から大正前期にかけての貴族院を主導し「官僚系」「山県系」などといわれた院内会派、幸倶楽部、及び子爵議員を中心とした最大会派、研究会の動向を中心に分析し、政党研究にくらべ著しく立ち遅れている貴族院に研究のひかりをあてた一書。また同時期の内閣・政党の動向を重ね合わせ、近代日本における立憲政治の実態、構造を探求する。

目次

序 論 本書の課題と試み
 一 貴族院研究の過去と現在
 二 本書の課題と目的
 三 本書の分析視角
 四 本書の構成

第一部 貴族院の成立と非政党・是々非々主義

 第一章 山県閥再考──山県系・官僚系・幸倶楽部の比較と検討──
  はじめに
  一 山県系の対象と範囲
  二 十金会の構成
  三 十金会の展開と幸倶楽部
  四 幸倶楽部と山県有朋―─両者の外見的一体性について―─
小括

 第二章 貴族院の成立と非政党・是々非々主義の形成
  はじめに
  一 上院設置論と華族への期待
  二 貴族院の創設と華族の「本分」
  三 党派性と是々非々主義
  四 明治二〇年代の貴族院各派
  小括

 第三章 貴族院における山県系の結集と貴族院糾合運動
  はじめに
  一 山県系結集への胎動
  二 幸倶楽部結成以前の茶話会・無所属派
  三 藩閥政府の危機と平田東助
  四 貴族院糾合運動の展開
  五 幸倶楽部の成立過程
  六 幸倶楽部の政治理念─―反政党的非政党主義へ─―
  七 幸・研与党体制の形成
  小括

第二部 桂園時代の貴族院と幸・研与党体制の確立

 第一章 明治四〇年代前半の貴族院と「桂園体制」
  はじめに
  一 非官僚派の勃興
   1 伯爵同志会の結成
   2 堀田正養・千家尊福の入閣
   3 華族談話会の設立
   4 二七会の安定と協同会の結成
  二 第二次桂内閣の成立と官僚派
   1 第二次桂内閣の成立
   2 第二五議会の貴族院
   3 研究会三島体制と尚友・談話両会の対峙
  小括

 第二章 明治四三年における非官僚派の崩壊
  はじめに
  一 二七会の崩壊
   1 軍人男爵会派結成の動き
   2 二七会の分裂
   3 二七会分裂後の男爵議員互選選挙
  二 華族談話会の挫折
  三 伯爵議員選挙の攻防
   1 伯爵同志会への批判の高まり
   2 土方久元の決起と山県有朋
   3 同志・非同志両派の攻防の激化
小括

 第三章 第二次桂内閣と幸・研与党体制
  はじめに
  一 第二六議会における官僚・非官僚両派
二 宅地地価修正法案問題の発生と紛糾
  三 貴族院と桂内閣との妥協
  小括

 第四章 有爵議員選挙における官僚・非官僚両派の対抗
  はじめに
  一 尚友・談話両会の対戦
  二 尚友会による子爵互選選挙の諸相
  三 京都在住公家と選挙
  小括

 第五章 情意投合と幸・研与党体制の確立
  はじめに
  一 情意投合と貴族院
   1 情意投合交渉に至るまで
   2 貴族院における情意投合の意義
  二 有爵互選議員総改選と幸・研与党体制の確立
  小括

第三部 大正前期の貴族院と幸・研与党体制の崩壊

 第一章 大正政変期における桂新党と貴族院
  はじめに
  一 桂太郎と新党
   1 第二次内閣挂冠前後の桂太郎
   2 新党組織論への傾斜
   3 山県・桂の確執
   4 第三次桂内閣の組織と桂新党
  二 桂新党と貴族院
   1 幸倶楽部と桂太郎
   2 平田・山県の貴族院論
3 十金会の新党不参加
  小括

 第二章 大正三年政変期における貴族院
  はじめに
  一 政変初期における幸倶楽部
   1 幸倶楽部の政権構想と制約
   2 第一次山本内閣の崩壊より清浦推挙までの動向
  二 清浦奎吾組閣期の貴族院
  三 長州閥による大隈擁立運動
四 第二次大隈内閣の成立過程と貴族院
小括

 第三章 第二次大隈内閣期における貴族院―─減債基金還元問題を中心に─―
  はじめに
  一 第三六議会における貴族院と減債基金問題
   1 幸倶楽部・研究会以外の各会派の動向
   2 第三六議会における幸倶楽部
   3 少壮派の擡頭と研究会
   4 第三六議会における減債基金問題の決着
  二 第三七議会の貴族院と減債基金還元問題
   1 第三七議会前の減債基金問題
   2 還元問題と幸倶楽部
   3 議会での激突
   4 山県・平田と幸倶楽部
   5 還元問題と研究会
  三 議会終了後の貴族院
  小括

 第四章 大正五年政変期における貴族院
  はじめに
  一 大隈後継内閣授受交渉
   1 第一期の動き─―寺内・山県の後継内閣構想─―
   2 第二期の動き―─大隈側の意図─―
   3 交渉決裂後の状況
  二 貴衆両院勢力の動向
   1 幸倶楽部の動き
   2 幸倶楽部内各勢力の動き
   3 貴族院他会派の動き
   4 政党勢力の動き
  三 政変後期の動向
   1 寺内への大命降下と対政党関係
   2 貴族院と挙国一致
  小括

 第五章 寺内内閣期の貴族院─―幸・研与党体制の崩壊─―
  はじめに
  一 寺内内閣期の官僚派
   1 挙国一致をめぐる相剋
   2 寺内内閣の崩壊と山県・幸倶楽部
  二 寺内内閣期の幸倶楽部
   1 協同会支配の構造と展開
   2 男爵議員独立への胎動
   3 十金会の凋落
  三 寺内内閣期における研究会
  四 第四〇議会における寺内内閣と貴族院──戦時利得税法案問題を中心に──
   1 戦時利得税法案問題の発生と紛糾
   2 研究会少壮派による局面の打開
  小括

結 論

参考資料1 貴族院各会派の勢力
参考資料2 茶話会・無所属派の議員構成

あとがき
索引(人名・事項)

紹介媒体

  • 日本歴史

    2007年2月1日

    今津敏晃

関連書籍

  • このエントリーをはてなブックマークに追加