増補 陰陽道の神々
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2,530 円(税込)
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著者・編者略歴

さいとう ひでき……1955年東京生まれ.日本大学大学院博士課程満期退学.椙山女学園大学短期大学部助教授をへて, 現在, 佛教大学歴史学部教授.専攻は神話伝承学,宗教文化論.おもな著書に『いざなぎ流 祭文と儀礼』(法藏館)『安倍晴明―陰陽の達者なり』(ミネルヴァ書房)『古事記 不思議な1300年史』(新人物往来社)『荒ぶるスサノオ、七変化』(吉川弘文館)

内容

コロンビア大学での発表をもとにした論考“牛頭天王の変貌と「いざなぎ流」”を収録して増補再版。
疫神や式神、泰山府君、牛頭天王、八王子、金神、盤牛王、そして式王子、呪詛神たち……。彼らは近代社会が封印し、消去した「陰陽道」の神々である。本書は、知られざる陰陽道の神々の来歴と素顔を平易に説く。

目次

はじめに――もうひとつの「日本」の神々を求めて――

序 章 陰陽道と安倍晴明の基礎知識
    「陰陽道」の定義
    国家のトップシークレットと「陰陽寮」
    安倍晴明は「陰陽師」なのか
    「道の傑出者」としての晴明
    歴史のなかの陰陽師
    本書で出会う「陰陽道」の神々とは
    (表)安倍晴明年譜

第1章 追われる鬼、使役される神――疫鬼と式神――
  1 鬼を追う陰陽師
    「福は内、鬼は外……」の謎
    追儺儀礼の現場から
    陰陽師が誦む「祭文」とは
    鬼にたいする二段階の対処
    なぜ陰陽師が登場するのか
    方相氏の両義性
  2 「式神」という神
    式神とは何か
    『枕草子』のなかの護法
    護法童子は術者の力のバロメーター
    式神は「陰陽道」の知識とどう関わるのか
    式盤に召喚する神々
    式神が教えてくれた文様
〈コラム1〉なぜ鬼退治をする「リンゴ太郎」はいないのか
〈コラム2〉人を食らう鬼
〈コラム3〉「神働術」とグノーシス

第2章  冥府と現世を支配する神
  1 冥府神としての泰山府君
    泰山府君とコンタクトする晴明
    史料のうえの泰山府君祭
    焔魔天と泰山府君との関係は
    藤原行成のための泰山府君祭
    「個人」救済の時代のなかで
    泰山府君と冥道諸神
    北斗七星と結びつく
  2 変貌していく泰山府君
    泰山府君祭の多様化
    鎌倉幕府の陰陽師と泰山府君
    天曹地府とは何か
    陰陽道の「繁栄」の時代?

第3章  牛頭天王、来臨す
  1 牛頭天王を求めて
    祇園祭の祭神の本当の名前は
    「祇園社」と「牛頭天王」をめぐる歴史
    「播磨国」に顕現した牛頭天王
  2 中世神話としての「祇園牛頭天王縁起」
    「祇園牛頭天王縁起」の物語、紹介
    「吾は速須佐雄の神そ」
    誰が牛頭天王=スサノオ説を作ったのか
    「中世神話」の世界から
    牛頭天王、第三の名前
  3 牛頭天王、陰陽道の神へ
    牛頭天王と天刑星
    「太山府君王法」を破る
    「五節の祭礼」と「二六の秘文」
    切断された巨旦、その呪詛と調伏
    暦神としての牛頭天王へ
〈コラム1〉本居宣長、祇園祭を観る
〈コラム2〉いまも京都に棲息する牛頭天王
〈コラム3〉平田篤胤の牛頭天王研究

第4章  暦と方位の神話世界――『簠簋内伝』の神々―

  1 『簠簋内伝』という謎
    土御門家が否定した書物
    作成者は祇園社の社僧か
    『簠簋内伝』の構成、その成立過程
    暦注書としての意味
    暦注の神々の世界
    「右此の金神は、巨旦大王の精魂なり」
  2 暦世界の根源神へ
    宇宙創成の光景から
    五帝龍王たちは何を生み出したか
    暦世界の根源神=盤牛王
    もうひとつの黄帝黄龍王譚
    「土公神祭文」への変成
    五帝龍王と八岐大蛇神話・異聞
    白牛にまたがる牛頭天王
    中世神学の暦神たち
    ふたたび、『簠簋内伝』の作り手を求めて
    奈良の地の陰陽師たち
〈コラム1〉『簠簋抄』と安倍晴明伝承
〈コラム2〉「神道」と「陰陽道」との結合とは
〈コラム3〉金神=スサノオ説をめぐって
〈コラム4〉世界の崩壊から始まる――いざなぎ流の「大土公祭文」――

第5章  いざなぎ流の神々――呪詛神と式王子をめぐって――
  1 いざなぎ流の神々と陰陽道
    家に祭られる神たち
    天井裏の聖域へ
    グループ神としてのオンザキ
    明治初年の呪詛合戦から
  2 「呪詛神」の系譜から
    「呪詛の祭文」の世界
    「取り分け」はどのように行なわれるか
    「すそのはらへ」の系譜から
    「中臣祓」という呪詞
    陰陽師が読み替える祓えの神々
    土御門系の「呪詛之返祭文」の儀礼世界
    山伏・法者・禰宜たちと「呪詛の祭文」
    数々の呪詛系祭文
    呪詛のテクニックを相手どる
    呪詛神の起源=提婆王
    「すそ林」に立つ式王子の幣
  3 式王子の世界
    式王子のふたつの系統
    式王子となる神霊たちとは
    「大荒神のけみだし式」でシフトする荒神
    法文=式王子をいかに使うのか
    いざなぎ流太夫は「陰陽師」ではなかった

終 章  「陰陽道の神々」のその後
    標的とされた牛頭天王
    陰陽道の神々は何を語っているのか

断章1 いざなぎ流への<旅>
  その1 神さまたちの引越し
  その2 中尾計佐清さんのこと
  その3 花をいさみて、寄りござれ
  その4 物部村の人びと

断章2  安倍晴明ブームの深層へ
  陰陽師・ミレニアム
  安倍晴明の深層、いざなぎ流の現場
    星を観る人・安倍晴明
    ブームの深層にあるもの
    「陰陽道」研究の進展
    いざなぎ流の現場から
  21世紀の安倍晴明――ブームの深層に何があるのか――
  バビロニアの安倍晴明

補 論 牛頭天王の変貌と「いざなぎ流」(増補分)

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