江戸後期儒者のフィロロギー
定価
6,050 円(税込)
本体 5,500円
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江戸後期儒者のフィロロギー

原典批判の諸相とその国際比較

竹村英二 著

  • 体裁
    A5判上製・256頁
  • 刊行年月
    2016年03月
  • ISBN
    978-4-7842-1838-7

著者・編者略歴

たけむら・えいじ…1962年生.豪メルボルン大卒,米カリフォルニア大バークレー校に交換留学生として在学.英ロンドン大大学院修了.現在,国士舘大学教授.オックスフォード大学 SCR メンバー等歴任.ケンブリッジ大学客員フェロー.主な著書に『幕末期武士/士族の思想と行為―武人性と儒学の相生的素養とその転回』(御茶の水書房、2008年) など.

内容

 江戸時代後期~幕末の日本では高度な考証的学問が発展した。それを担ったのは「市井」の儒者たち。彼らのこうした属性は、同時代中国の考証学者の多くが政治・社会的環境与件と相即不離な状況にあったのと異なり、近代的学問の基本である客観性と実証性を備えた、既成思想に束縛されない学究活動を可能とした。これは少なくとも十八世紀という時空においては世界史上きわめて稀有なものであった。
 日本における実証的学問の成立は清朝考証学と近代の西洋体験を基盤とする―、こうした所論は再考を余儀なくされるのである。

目次

 総論編

序 論 本書の中心的課題、ならびにその射程

第一章 江戸中~後期における漢学学問方法の発展
  一 漢学―"負の遺産"として/近代知性の基盤として
  二 漢学(儒学)と近代知性
  三 幕末漢学のなにを、どう研究するか
  四 幕末の「知識層」における漢学の素養の効用

 
 各論編Ⅰ 古典テクスト研究の諸相

第二章 十八世紀日本儒者の『尚書』原典批判
     ―中井履軒『七經雕題畧(書)』、同収「雕題附言(書)」を題材に
  はじめに
  一 履軒の『尚書』研究
  二 履軒の古文経「原典」批判
  小括 忌憚なき「原典批判」―中国の文献批判と比較して

第三章 東條一堂の『論語』研究―權、道義と業務
  はじめに
  『論語知言』の權、道義と業務
  小括

第四章 久米邦武と『尚書』研究
     ―清代考証学と宋・元・明経学の兼採の様相
  はじめに―久米と『尚書』研究
  一 「尚書日知禮記」にみる久米の『尚書』理解
  二 元・明代『尚書』研究と久米
  三 『書纂言』序文と「古今文聚訟」
  小括

第五章 思考様式醸成要素としての儒学テクスト読解の作法
     ―「練熟」「組織セル念慮」の醸成装置として
  はじめに
  一 田中知周(述)『讀書準縄』
  二 江村北海『授業編』と『讀書準縄』―学習方法の相同性と差異
  三 『讀書準縄』『授業編』、そして洋学学習の実相
  小括


 各論編Ⅱ 古代言語への意識/接近

第六章 太宰春臺における古文の「體」「法」重視
     ―古文辞「習熟」論に鑑みて
  はじめに
  一 春臺『紫芝園稿』にみえる模倣・剽窃批判
  二 春臺における「體」「法」重視
  小括

第七章 理解力・翻訳力・外国語習熟力
     ―なぜ明治の知識層は漢学廃止に反対したか
  はじめに―漢学的素養の両義性
  一 森田思軒
  二 中江兆民
  三 中村敬宇
  小括

結 論 日本儒学における考証学的伝統と原典批判
  一 古くて新しい論点
  二 西欧における文献学の祖
  三 十八~十九世紀ドイツの「文献学」
  四 東西の文献学発展におけるパラレル―文献考証と原典批判において
  五 「文献学」としての十八世紀日本の儒学、そして武内支那学―和辻哲郎のフィロロギー論に鑑みながら


あとがき
索引(人名/史資料名)

紹介媒体

  • 『日本古書通信』1053号

    2017年4月

    受贈書目

  • 『日本経済思想史研究』17号

    2017年3月

    松川雅信

    書評

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