著者・編者略歴

たけだ・さちこ…1948年生。東京都立大学人文科学研究科博士課程修了(史学専攻)。現在、大阪大学大学院文学研究科教授。 『古代国家の形成と衣服制』(吉川弘文館、1984年)『信仰の王権 聖徳太子』(中公新書、1993年)『衣服で読み直す日本史』(朝日選書、1998年)など著書多数。

内容

編者の大阪大学退職を記念し、学縁に連なる31名が衣装・信仰・古代史の諸相・女性・文化の交錯をテーマに最新の研究成果を持ち寄る。

目次

  Ⅰ 衣 装

平安貴族における愛のかたちと衣服のかたち 武田佐知子(大阪大学教授)
―『とりかえばや』の復権

青い鳥と紅いスカーフ 矢田尚子(盛岡大学准教授)
―杜甫「麗人行」の「青鳥飛去銜紅巾」をめぐって

唐代侍女男装雑考 菅谷文則(橿原考古学研究所所長)

『中国歴代帝后像』と南薫殿の図像 堤一昭(大阪大学教授)

帛御服と御祭服についての諸問題 津田大輔(滝川中学校・高等学校教諭)

天平韋についての臆説 伊藤純(大阪歴史博物館学芸員)
―「天平十二年八月日」に込められた意味

日本人のキリスト教受容と宣教師の装束 岡美穂子(東京大学史料編纂所助教)

  Ⅱ 信 仰

菅原道真「能書」説の諸相とその展開 竹居明男(同志社大学教授)
―古代・中世を中心に

聖徳太子の化身説 稲城正己(光蓮寺住職)
―『三宝絵』と『四天王寺御手印縁起』 

近世太子信仰の成立と天海 榊原小葉子(スタンフォード大学講師)

大阪天満宮の渡辺吉賢と「神酒笑姿」 高島幸次(大阪大学コミュニケーションデザインセンター招聘教授)
―平賀源内「神酒天神」の投影

北斗七星と九曜星をともなう江戸時代の妙見画像の一例 松浦清(大阪工業大学准教授)
―誤謬解釈を越えて

近世琉球における媽祖信仰と船方衆 藤田明良(天理大学教授)
―那覇若狭町村の新参林氏とその媽祖像を中心に

多重化するローカルな祭り 井本恭子(大阪大学准教授)
―浮遊する聖人


  Ⅲ 古代史の諸相

難波長柄豊碕宮の造営過程 市大樹(大阪大学准教授)

「政ノ要ハ軍事ナリ」 井上勝博(武庫川女子大学非常勤講師)
―天武一三年閏四月丙戌詔再考
  
荒ぶる女神伝承成立の背景について 松下正和(近大姫路大学講師)

「風土記」開発伝承の再検討 高橋明裕(立命館大学他非常勤講師)
―『常陸国風土記』行方郡条
   
播磨国風土記の民間神話からみた地域祭祀の諸相 坂江渉(神戸大学地域連携センター研究員)
   

  Ⅳ 女 性

日本古代における婚姻とその連鎖をめぐって 今津勝紀(岡山大学教授)

近代日本における化粧研究家の誕生 鈴木則子(奈良女子大学教授)
―藤波芙蓉の事跡をめぐって
  
小栗風葉『青春』に見る男性領域への侵犯と女性教師の周縁化 小橋玲治(甲南高等学校非常勤講師)
   
タイ文学にみる女性の「解放」 平松秀樹(大阪大学他非常勤講師)
―『ワンラヤーの愛』を中心として

スペインの婦人参政権に関する一考察 岡本淳子(大阪大学助教)

土地の表象を纏う 山崎明子(奈良女子大学准教授)
―「ご当地キティ」をめぐるジェンダー表象論  


  Ⅴ 文化の交錯

絲綢を運んだ南海の船舶と文化 辻尾榮市(大阪府立大学客員研究員)

『浪花名所獨案内』を読む 辻尾千曉(大阪大学大学院博士前期課程修了)
          
一八世紀中葉の兵庫津方角会所と惣代の家 河野未央(近大姫路大学助教)
―岡方惣代善八の不正事件をめぐって
  
近世中後期に見る近代アルピニズム的思考 中井祥雅(大阪大学大学院博士後期課程)
 
近代における奄美群島からの渡台者について 高嶋朋子(東京外国語大学留学生日本語教育センター非常勤講師)

民俗世界における食の地域性と方言圏 中井精一(富山大学人文学部教授)
―北陸地方の雑煮に注目して

リンネの「帝国」と「使徒」の使命 古谷大輔(大阪大学准教授)
―スウェーデンから見たテューンバリ訪日の背景


あとがき
執筆者紹介

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