内容

歌枕に詠まれたいにしえの芦屋の浜、歌人や作家に愛され、その作品に影響を与えてきた芦屋・西宮など阪神間の風土、さらに開港早々慌ただしい歴史の舞台ともなった神戸――文学、歴史から阪神文化に触れる。

目次

Ⅰ
歌枕の詩学―津の国・難波・芦屋(川本皓嗣)
  海松
  芦屋と菟原
  津の国 
  難波
  芦
  『伊勢物語』
  業平
  芦屋の里
  昆陽と生田
  歌枕と掛詞

松瀬青々論(杉橋陽一)
  青々の経歴とその独自な句風
  大阪文化と青々
  「ぽつとりとした女」と吉祥天女

Ⅱ

谷崎潤一郎と阪神間 そして三人の妻(辻一郎)
  谷崎潤一郎の関西観の推移
  千代夫人との結婚生活
  千代夫人との別れ
  謎の多い丁未子との結婚
  丁未子夫人との離別
  「松子神話」への疑問

「記憶の場」としての『吉野葛』(岩谷幹子)
  『吉野葛』完成にいたるまでの谷崎作品における「手紙」
  『吉野葛』における「手紙」
  おりとの語りと母の形見の琴
  津村にとっての「初音の鼓」である「お和佐」
  「記憶の場」としての「場所」

桜と桜守 ―笹部新太郎を中心に(松原秀江)
  「木挽」の「爺ッ子」北弥吉
  佐野藤右衛門と父親代りの竹部庸太郎
  「やさしさ」の中で運ばれる弥吉と園の結婚
  母と幼少期の思い出に重なる武田尾の桜山
  信念の人・笹部新太郎と荘川桜
  八重の彼岸桜に抱かれた海津、清水の共同墓地
  桜の国・日本の染井吉野について

Ⅲ

昭和初期の神戸における青年団運動について(尾﨑耕司)
  都市青年団の組織と機能
  都市青年団の活動の展開
  矛盾と転換
  おわりに

A・B・ミットフォードと神戸事件 ―事件・ハラキリ・武士道(松村昌家)
  兵庫(神戸)開港と「魔女の大釜」
  明治新政府初の外交事件
  〈ハラキリ〉立合いの記と『武士道』

あとがき

紹介媒体

  • 週刊読書人

    2008年8月22日

    河内厚郎

    学術思想

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