ウイリアム・スミス・クラークノキョウイクシソウノケンキュウ

William Smith Clarkの教育思想の研究

札幌農学校の自由教育の系譜

小枝弘和 著

  • 体裁
    A5判・380頁
  • 刊行年月
    2011年01月
  • ISBN
    978-4-7842-1561-4

著者・編者略歴

こえだ・ひろかず…1975年、大阪市生まれ。同志社大学大学院文学研究科修士課程修了。佛教大学大学院教育学研究科生涯教育専攻単位取得退学。現在、同志社大学同志社社史資料センター社史資料調査員。京都造形芸術大学非常勤講師。博士(教育学)(佛教大学)

内容

"Boys, Be ambitious!"で知られる、ウィリアム・スミス・クラーク(1826-86)の教育思想の全体像を明らかにする。アメリカに存在するクラーク関連資料や、手紙や草稿類などの活字化されていない資料をも十分に活用し、幼少期にさかのぼって彼が過ごしてきた環境をできるだけ明らかにすることで、その教育思想や実践の特質の主要因を究明する。

目次

序章 本研究のテーマと基本的立場

 先行研究のまとめ
 課題と方法

第1章 幼少期、青年期における思想形成

 クラークの出生とその家族
 サミュエル・ウィリストンとウィリストン・セミナリー
 ウィリストン・セミナリーの教育理念
 ウィリストン・セミナリー時代のクラーク

第2章 アマースト・カレッジの教育的感化

 アマースト・カレッジの教育理念
  ―クラークを取り巻く思想的学問的環境―
 知育と体育の実践
  ―寄宿合、カリキュラム、課外活動―
 課外活動を通じた宗教的自己啓発
  ―探究会とAntivenenian Society―
 アマースト・カレッジのリヴァイヴァル
  ―クラータの回心体験―
 クラークにとっての自然科学の二つの側面
  ―自然神学と自活手段―

第3章 高等教育観の形成 ―ドイツの専門教育の影響―

 クラークのドイツ志向
 ロンドンでの貴重な経験
  ―大英博物館、リンネ協会、王立キュー植物園訪間を通じて―
 ゲッティンゲン大学とその環境
  ―1850年から1852年を中心に―
 留学生活
  ―研究生活とキリスト教観を中心に―
 高等教育観の形成
  ―教育と宗教の関係―

第4章 アマースト・カレッジ教授としての躍進

 理学科の設置
  ―アマースト・カレッジの専門教育とクラーク―
 アマースト・カレッジ初期の化学史におけるクラークの位置付け
  ―ヒッチコックの辞任演説を通じて―
 新学長スターンズのもとでのクラーク
  ―事業、科学、そして農業―
 南北戦争におけるクラーク
  ―栄光と苦悩の狭間で―
 農科大学誘致運動
  ―事業推進者、政治家としてのクラーク―

第5章 マサチューセッツ農科大学学長としての実践と苦悩

 マサチューセッツ州における農業教育の系譜
 開講までのマサチューセッツ農科大学の教育理念の形成過程
 第3代学長クラークの教育思想
  ―カリキュラム、課外活動、宗教教育を通じて
 クラーク学長の教育行政の評価
 教育者としてのクラーク

第6章 札幌農学校教頭としての教育実践とその影響

 札幌農学校前史
  ―開拓使仮学校から札幌学校専門科開校まで―
 札幌農学校開校当時に見るクラークの思想的影響
 クラークによるキリスト教の導入
 札幌農学校におけるクラークの教育実践

終章 札幌農学校の教育思想史的意義

 明治初期自然科学系官立専門学校における札幌農学校の位置付け
 草創期札幌農学校の教育理念の変容
 札幌農学校のキリスト教の「移動」
 クラークの教育思想史的評価と課題

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