初商い

昨年入社の営業社員、寺田君が先日「初商い」をしてきました。
私事ながら、思い返せば私の初商いは熊本県北部にある某市の某病院の奥様でした。入社2年目、平成11年のことです。
その当時、熊本の地元百貨店に毎年6月と11月に約1ヶ月間の長期出張をして、百貨店の外商さんとお客様宅を訪問販売して歩くという試練(?)を課せられていた私ですが
入社当初は今にも増してどんくさい上に、要領も悪い、知識もない、極度の人見知り、見た目がパッとしない…という悪条件が重なり、一回目、二回目と結果は散々でした。
お客様のお宅に訪問する以前に、まず身内であるはずの外商さんの事務所でろくに相手にされず、当時私が同行させていただいていた上司にばかり商談が集中し、
挙句の果てにはあるベテラン外商さんから「ヌシ(君)と回ったばってん売れんもんね、今日は遊んでてヨカよ」と冷たく言い放たれ、美術画廊にほったらかしにされ、今だから言えますが熊本市内の上通商店街の漫画喫茶で『キン肉マン』を全巻制覇したこともありました。もちろん一日で、です。後日『タッチ』に挑戦したこともあったと思います。
私と同期の営業が、他の百貨店で次々に商談を成立させている状況で、「もうやめよっかな、この会社」と思っていた矢先、
当時30代後半の外商さんが「一軒連れてってあげるけん、今からヨカね?」と声をかけてもらってお邪魔したのが、前述の病院でした。
初商いの作品は徳富蘇峰の達磨の自画賛でしたが、そちらの病院の奥様に
「あなたがそんなに奨めてくれるなら」と言っていただいたのを今でも覚えています。
もう今ではほとんどの方が百貨店を定年退職されたと風の噂で聞いておりますが、当時のその熊本のベテラン外商さん連中には苦汁をなめさせられたとその当時は恨みもしましたが、「拾う神あり」でした。
結局今まで16年この会社に在籍し、その後もいろいろな局面で退職が頭をよぎったこともありましたが、思いとどまったのはいろんなお客様の一言だったと思います。
…で、寺田君がそのはじめて一人で商談に行く前日、思い悩み、緊張している彼に
「たぶん売れへんし、売れたら焼肉おごったるわ」と冷やかしで言ってしまったがために、今度焼肉に連れて行く破目になりました。
嫌な上司になりました。
(入江)
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