冬の使者

今年も鴨川にユリカモメの群がやってきました。
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ユリカモメはユーラシア大陸北部やイギリス、アイスランドなどで繁殖し、
冬は南下しヨーロッパ、アフリカ、インド、東南アジアへ渡り越冬する鳥で、
日本では冬場、全国の海岸や河川、沼地などによく見られるそうです。
しかし、高校を卒業するまで長野の山奥で暮らしていた私は、
ユリカモメを目にする機会がほとんどなく、京都暮らし1年目の冬のある日、
鴨川に突如現れた、見慣れぬ白い鳥の大群にとても驚いたものでした。
ですので、毎年、彼らを目にするようになると冬の到来を感じるのです。
弊社最寄り駅の三条駅(京阪電鉄)・三条京阪駅(地下鉄東西線)近辺は特に賑やかな気がします。


また、先日訪れた、鶴見緑地公園でも見かけました。
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ユリカモメといえば、『伊勢物語』の「九段 東下り」の歌中に登場する
“都鳥”であることでも知られています。
「白き鳥の嘴と脚と赤き、しぎの大きさなる、水の上に遊びつつ魚を食ふ。
京には見えぬ鳥なれば、みな人見知らず。渡しもりに問ひければ、
「これなむ都鳥。」と言ふを聞きて、
『名にし負はばいざこと問はむ都鳥わが思ふ人はありやなしやと』とよめりければ、
舟こぞりて泣きにけり。」

在原業平が、京都にいる想い人を想い、隅田川の渡しで歌を読んでいる場面です。
あれ・・・
「京には見えぬ鳥なれば、みな人見知らず」!?
調べてみると、昭和22年(1974)以前には、ユリカモメは京都にいなかったそうです。
しかし、古典の世界と現代の環境は違えど、同じ“都鳥”を見ていることには変わりありません。
古美術品も然り、何代にもわたり、様々な時代を経てきた作品たちを、
今私達は目にすることができるのです。
ですので、これらはさらに次の世代へ伝えていかねばなりません。
1年目の新人ゆえ、周りの方々に迷惑をかけてばかりの毎日ですが、
少しでも文化の伝承に役立てることを来年の目標に据え、日々精進してまいりたいと思います。
(三村)