書き入れ本

昨今、本(古本)の汚れや書き入れは嫌われる傾向にある。
“古本”という性質上、新刊本のようにはいかないのが当然なのだが…。
しかし和本においては、汚れはともかく、書き入れはむしろ喜ばしいものといえる。
職原抄
例えば、写真の『職原抄』は北畠親房の著で、神祇官・太政官・令外官に関する有職故実書だが、
右頁には「大納言」以下、その官の起源が記されている。
左頁の本文には、難解な字に朱仮名が振られ、
時には他の文献を参照しながら所狭しと書き入れがなされている。
書き入れられた内容については一つ一つ検討していく必要もあるが、
それも含めて非常に多くの情報を示していて興味深い。
過去にこの本を手に取った人物が、読み、学び、調べ、知識を蓄えていった様子がありありと想像できる。
書き入れから生まれる個性や魅力といったものを味わうのも、また一つの本の楽しみではないだろうか。
(中村)