山の城

「山城」をご存知でしょうか。
多くの人は『城』と聞くと姫路城や大阪城といった壮大な天守閣をもった城を思い浮かべると思います。
こうした現在『城』と認識されている城郭様式は、近世城郭と呼ばれ、
安土城がその始まりであったと言われています。
現存する天守閣を持つ城のほとんどが、実は安土・桃山時代から江戸時代初期の
比較的平和になった頃に築城されたもので、
戦国時代真っ只中の城の有り様とはちょっと様相が異なります。
近世城郭は日常生活を営む住居と戦争時の要塞としての役目を兼ね備えていました。
しかし安土城以前はその住居と要塞を別々に設けるスタイルが主流でした。
そこで登場するのが山城です。
当時の人々は山全体を要塞化することで城として機能させていたのです。


山城の利点は、天然の要害を利用することで少ない人数での戦闘が可能であるということです。
戦国時代は戦が常態化しているので、常にたくさんの兵を徴用することが出来ません。
山に上がりさえすれば、山の地形を利用しゲリラ戦を展開できますので、少ない兵力でも敵を退けることが可能です。
そうした観点から山城は戦国武将に重宝されていました。
平素は山の麓にある居館で生活をし、いざ戦となれば山上の城に立て籠りそこで戦闘を繰り広げる・・・
戦国時代隆盛期の戦模様はこんな感じだったそうです。
山城の歴史は古く、弥生時代頃まで遡ることができます。
そこに築かれる建築物は時代によって変遷がありますが、近世城郭に比べると非常に簡素です。
掘立柱建築や簡易な櫓を立てるのみ、地形を利用しその時々に応じて土塁や柵・堀などを設けました。
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現存する山城のほとんどは、石垣や石碑の僅かな遺構を残すのみとなっていますが、
現地に行って登るだけでも、山城のスケールの大きさを感じることが出来ます。
いくつかの山城をご紹介いたします。
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岡山県総社市にある山城「鬼ノ城」は古代山城です。
築城理由は不明ですが、西暦663年白村江の戦いに倭国が敗れた後、
唐・新羅の侵攻に備え築城したと考えられています。
すり鉢形の山上が特徴的で、山頂周囲を石垣・土塁による城壁が周囲2.8キロメートルに渡って取り巻いています。
山城の規模としてはかなりのものです。
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兵庫県朝来市和田山にある「竹田城」は別名天空の城とも呼ばれています。
山裾の川から川霧が発生し、本丸から眺めると雲海が広がっているように見えることからこの名が付いたそうです。
竹田城は1400年代に築城され、当時の石垣がほぼそのままの状態で残っており、
遺構の少ない山城の中では保存状態の良い山城です。
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遺構ばかりで面白くない!当時の建築物はどんなものだったの?という方のために、復元山城も一つご紹介します。
長野県千曲市にある「荒砥城」は2007年大河ドラマ『風林火山』のロケ地として館や兵舎、櫓などを復元しました。
(ドラマの中では長野県小海市にある海ノ口城として使用されました)
今年の大河ドラマ『江-姫たちの戦国-』の第1話でも小谷城のロケ地として使用されています。
当時の山城の雰囲気を再現しており、近世城郭との違いを見てとれると思います。
最近、登山やトレッキングに興味を持つ方が増えてきているそうです。
新緑の季節、ちょっと趣向を変えて山城に登ってみるのはいかがでしょうか。
(松澤)