新鮮! 古田織部伝『へうげもの』

ここ数年、ドラマや各観光地にて戦国時代ものがブームとなっていますが、最近はまっている漫画があります。

へうげもの(1) (モーニングKC (1487)) へうげもの(1) (モーニングKC (1487))
(2005/12/22)
山田 芳裕

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山田芳裕『へうげもの』
武士としての出世と、数奇への欲との間で葛藤する風流武士・古田織部を主人公に、
戦国の世から江戸時代にかけての歴史を描く物語です。


日本史の教科書的な政権争いや戦などの表側の歴史よりも、
むしろその裏側で、芸術がどのように関わっていたか、
新しい「侘び寂び」という美意識がいかに武将たちに影響を与えたかに主軸を置いて描かれています。
武将にとって、いかに芸術を知り、あるいは自己演出として活用できるかということは、
政治外交上や武家社会においても重要だったのでしょう。
主人公・古田織部や、織田信長豊臣秀吉千利休らそれぞれの登場人物たちの性格を発展させ、
大胆にデフォルメしたキャラクター設定によって描く手法は見事です。
要所で史実をふまえながら、気持ちいいほど極端なフィクションも織り込まれて展開していく
キャラクターの人間描写も、この漫画の大きな魅力となっています。
好きな器に出会ったときの、メロメロと骨抜き状態な織部の表情。
最先端の流行モノにしびれ、任された茶会でとっておきのアイデアをプロデュースしてほくそえむ。
唾のしぶきや、あごの梅干しじわなど、顔面いっぱいに感情を表現する織部の人間くささ。
読みながら感情移入して同じ顔になってしまいそうなくらい、インパクトがあります。
器のゆがみに美の新境地を見出した織部。
「ひょうげ」た、つまり「ふざけた、おどけた、ひょうきんな」キャラクター設定のもとに、
器を評して「めにゅうとした」「めぎゅわ」「ミキュン」と表現するなど、
次々に繰り出される台詞もユニークです。
四百年前という過去を生きた織部たちも、現代のわたしたちも、
「好いものは好い」と感じる、根本的な感情は通じていることを感じさせられます。
今年4月にはNHKーBSにてアニメ化が決定したようです。
NHKアニメワールド「へうげもの」
ぜひ、幅広い年齢の方におすすめしたい作品です。
(千田)