化野の千灯供養

去る8月16日、京都の風物詩である五山の送り火が行われました。
大文字が特に有名ですが、西の嵯峨野でもひとつ、送り火が焚かれます。
鳥居形と呼ばれるその送り火には、火床が108あり、
一説には、人間の108の煩悩を焼き尽くすという意味が込められているそうです。
鳥居形が灯される山のすぐ麓に、ひとつのお寺があります。
化野念仏寺。「あだしのねんぶつじ」と読みます。
京都でももっとも西に位置する化野は、
東の鳥辺野、北の蓮台野とともに、
古来より葬送の地として知られてきました。
お寺には無数の石仏が奉られていますが、
この地に葬られた無縁仏と言います。
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めまいがするほど建てられた石仏や石塔。
いかにお寺と言えども、これほどまで浮世離れした雰囲気のところは、
なかなかないのではないでしょうか。
ちなみに、石仏が並べられた境内は、「西院(賽)の河原」と呼ばれています。
人間の業や執着や、実にさまざまな思いがうずまいているようで、
少しぞっとするような気さえします。
さて、化野念仏寺では、毎年8月23・24日の夕刻から夜にかけて、
石仏・石塔にろうそくを灯して供養する、「千灯供養」がいとなまれます。
仏の霊を弔い、ご先祖様に思いを致します。
ゆらめく炎のむこうに見える幽玄な景色。
この世のものとは思えないほど、美しく、はかなく見えます。
夏の終わり、ろうそくに照らされながら
諸行無常を味わわれるのはいかがでしょうか。
(岸本)