琵琶一

先日、倉庫で探し物をしていると、たまたま「近江国細見図」という琵琶湖とその周辺の都市や
街道・名所旧跡などを描いた地図(木版)が目に留まり、その地図を広げながら、十年以上前、
まだ学生の頃に自転車で琵琶湖一周したことをふと思い出しました。
(注:サボっているわけではありません。)
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京都・滋賀付近に住む、少々体力と時間の余っている人間にとって、琵琶湖一周は格好のチャレンジ(暇つぶし)で「琵琶一(ビワイチ)」の愛称で親しまれ、居酒屋で得意げに話す学生もよくいます。
「一日で回ってきた」なんて言う友人がいたので、なんだそんなものかと思い、地図も持たずロクな準備もせずに出発。あまりの過酷さに殆ど観光もできず、回りながら準備不足をとても後悔したことが苦笑いとともに思い出されました。
後々聞くと、琵琶湖をほぼ一周しようとすると、どんな回り方をしても160km~200km位あるらしく、そりゃあどんなに漕いでも中々ゴールしないわけです、、、。
この「近江国細見図」が作られた当時(寛保二年刊)に琵琶湖一周しようなんて事を実行した人が
どの位いたのかは定かではありませんが、徒歩での達成は困難を極めたことでしょう。
しかし、湖岸付近だけでも、彦根城や石山寺、三井寺など見所は多く、そして東海道五十三次の宿場の一つである大津宿、草津宿などの宿場町もあります。
当時の人たちは、今とは比べ物にならない苦労・危険に直面ながらも、それに負けないくらいの楽しみや達成感を感じてこの琵琶湖岸を歩いたのではないでしょうか。
少々体力に自信がなくなりましたが、いくらか大人になった今、今度はしっかり地図を持って、名所旧跡を訪れながら当時の自分や江戸の旅人に思いを巡らし、もう一度琵琶湖を一周してみようと思います。
 、、、、、、車で。
(西原)

ポジャギとチュモニ展

先日、高麗美術館の新春企画展「ポジャギとチュモニ展」を見に行ってきました。
写真1
「ポジャギ」とは、ものを包んだり覆ったり飾ったりする四角い布のことで、
日本でいう風呂敷やふくさ、ふきんに相当する役割をもつものです。
朝鮮時代の18世紀頃からさかんになったとされ、「袱(ポク)」とも呼ばれたポジャギは、
「福(ポク)」に音が通じることから、幸せを呼ぶものと伝えられてきました。
一方「チュモニ」とは、袋物のことを意味します。
このたびの展示は、韓国刺繍博物館のコレクションと高麗美術館のポジャギ計85点に、
現代作家の作品15点を加えた総計100点の品々が紹介されていました。
写真2
ちらしのポジャギは、端切れを縫いつなぎ一枚の布に仕上げるパッチワークのポジャギで、
「チョガッポ」と呼ばれるものです。展示説明にもありましたが、
パウル・クレーやモンドリアンの抽象絵画ともどことなく重なりました。
モノトーンで落ち着いた風合いの麻のチョガッポが白磁とともに展示されていた場面が
あったのですが、調和の美しさに思わず足をとどめ長く見入ってしまいました。
左側の水色の袋は、お土産に買ったチュモニです。
対象物に精魂を込めることは、一種の誠を尽くす行為とみることができ、
真心を込められた対象は招福の媒介になる、という俗信が印象的でした。
小さな端切れも大事につかい、布をいとおしんだ古人の精神、幸せを願う心。
真心から生み出された表現に、心動かされたひとときでした。
(平野)