ある偽作家の生涯

井上靖の作に標記のような小説がある。
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ある偽作家の生涯 (新潮文庫)
ある日本画大家の伝記作成の取材過程で、その大家の偽作を為したとされる、
原芳泉なる人物の存在を知った語り手「私」は、次第にこの偽作家の生き様へと関心を向けていく。
自分ではない誰かになりすまさねばならなかった者の心中をかいま見ようとする衝動が、
物語を牽引する動因となっている。

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矢筈(やはず)

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書画愛好家・収集家の方であっても、我々のような書画屋と呼ばれる職業に従事する者であっても
「矢筈」は欠かすことの出来ない道具の一つ。
大半はこのように竹を素材としているものが多いが、私は常に組立式の矢筈を鞄に忍ばせている。
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素材には真鍮を用いており、ネジを廻す音が耳に心地よい。
しかも
これは特注品ではなく、市販されている。
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場所は京都の東西の大動脈五条通から麩屋町通の細い路地を北に上がった「旭金物」さん。
レトロな佇まいの店内には書画愛好家垂涎のアイテムが所狭しと並ぶ。
昔ながらの書画鑑賞の金具から、屏風をフラットに展示する金具など
昨今の書画を取り巻く外部環境や価値観に合わせたコレクターズアイテムは
旭金物さんのホームページでも閲覧が可能。
この組立式の矢筈を今年の年初に手に入れてはや半年。
車の座席の下に落ちた携帯を取る時しか使っていないのは何故?
(入江)

秋艸道人

皆さまこんにちは。
入社して2ヶ月が経ち、最近では仕事をしながら作品を愛でる余裕も持てるようになり、
仕事意欲に燃える日々を送っております。
今回は、思い入れのある作家の一人である、会津八一について書こうと思います。
会津八一(1881~1956年)は歌人であり、書家であり、また美術史家でもありました。
名前は、新潟市の料亭会津屋の次男として、8月1日に誕生したことに由来します。
八一ゆかりの地は、奈良や新潟をはじめ全国各地に存在し、その多くに八一の詠んだ歌の碑が建立されています。
會津八一記念館(新潟市)が確認している自筆歌碑は41基にもなるそうです。
新潟県のお隣の長野県にも、八一ゆかりの地が存在します。
長野県内で有名なのは上高井郡高山村山田温泉ですが、
東筑摩郡朝日村もまた八一ゆかりの地であり、村内には『研精覃思』の書碑があります。
この書碑は、昭和5(1930)~8年に至る4年間、
毎秋八一がこの村に招かれて仏教美術の講演をした記念に建立されたものです。
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研精…詳しく研究すること。細かく調べること。
覃思…深く思う。深思。
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長野県東筑摩郡朝日村から松本平を望む
八一は書を習ったことはなく、その代わり、縦線や横線、丸を書く練習を沢山したと聞きます。
そのためか、八一の字は形式に囚われることなく、とても人間臭くて温かみのある字であると私は感じました。
また、八一の作品には字と共に、かわいらしい落書きの様な絵が描き添えられていることもあり、
鑑賞していてなんともほのぼのとした気分になります。
(三村)

山の城

「山城」をご存知でしょうか。
多くの人は『城』と聞くと姫路城や大阪城といった壮大な天守閣をもった城を思い浮かべると思います。
こうした現在『城』と認識されている城郭様式は、近世城郭と呼ばれ、
安土城がその始まりであったと言われています。
現存する天守閣を持つ城のほとんどが、実は安土・桃山時代から江戸時代初期の
比較的平和になった頃に築城されたもので、
戦国時代真っ只中の城の有り様とはちょっと様相が異なります。
近世城郭は日常生活を営む住居と戦争時の要塞としての役目を兼ね備えていました。
しかし安土城以前はその住居と要塞を別々に設けるスタイルが主流でした。
そこで登場するのが山城です。
当時の人々は山全体を要塞化することで城として機能させていたのです。

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飛び出し坊や

出張先のご当地グルメに舌鼓を打つのもひとつの醍醐味だが、ご当地の交通安全標識を堪能するのも面白い。
2011-05-17 20.29.21
みうらじゅん氏の造語である「飛び出し坊や」こと交通安全標識。
滋賀を起源とすると伝えられるこのスタンダードバージョン、
何らかのアニメのオマージュ作品であるのは一見して明らかであるが、
基本的に各学区毎にPTA の皆さんの手作りが原則。
様々なキャラクターにインスパイアされたと思われる各地の飛び出し坊やと出張先の公道で出逢う一期一会。

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